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2017年5月31日 (水)

『国立社会保障・人口問題研究所』本当は怖くない日本の人口減少:その答えは日本の世帯数推計にあり

「人口減少社会」という言葉に一喜一憂している昨今ですが、日本の未来はそんなに卑下することはありません。むしろ希望の有る日本の姿が見えてきます。

ご案内のように下の二つのグラフは同じデータを縦軸についてゼロベースと変化域について詳細に並べたものですが、見た通りのグラフになります。確かに日本の世帯数は減るのですが、減り方はグラフの作り方により誤解を招くほど違って見えます。同じ2010年から2035年の推移ですが、2番目のグラフだと急速に世帯数が減っているように見えますがデータは一緒です。2015年を今としますと日本の世帯数は52,904千世帯であり20年後の2035年には49,555千世帯になります。3,349千世帯減少しますが6.3%です。これは空き家の増加スピードよりかなりゆったりとした減少スピードで、不要な住宅を抹消しつつ住宅市場を維持することのできる減少スピードとも言えます。

「あるものを使う」ことと「足らないものを建てる」のとはスピート感が違います。新しい時代に多少の改善はするものの、既存のストックが使えるのだから新たな投資も少なくて済みます。全員が全員住まいにこだわりを持っているわけではありませんから、住まいに芸術作品はいらないわけで、程々の性能があれば十分満足の行く住まいとなります。もちろん殆どの建物が利用可能ですから、利用が難しいものから解体なり他の用途に変えていくなどのコンバージョンが図られれば良いのです。

今後、家族の多様化は進みます。特に独り世帯は増える傾向でが、従来のように小さなワンルームで過ごすのではなく、少しゆとりのあるワンルームに志向が移ります。テレワークなどの環境が整備連れつつあるなか、職住近接やSOHOといった職と住の近接する住まい方の普及やシェアハウスなどの共生型居住スタイルも広がり、新たなコミュニティの姿が現実のものになってくると思います。そうした時には既存の建物を活用した新たなコンバージョンの提案が生まれ、新たなコストを抑制したライフスタイル付きの住まいが提案されそうに思います。

私たちはどこかで背中を圧されつつ生きてきたように思います。受験戦争も就職活動も厳しい時代を経てきたように思います。そしていまは大学の定員割れや新規採用の引く手あまたが続いています。これは根本に日本の人口減少が背景にありますが、ある意味では豊かな時代に入ったという言い方もできます。

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2017年5月30日 (火)

『国立社会保障・人口問題研究所』ひとり親と子供となる世帯の推移:男と女の立場を考える

「離婚が少ない」「婚外子が少ない」という日本や香港のデータを観て、なんとなく「儒教社会」をイメージしてしまうのですが、日本での「一夫一婦制」は明治31年の民法改正によって制定されたので、それまでは「一夫多妻」が認められていました。「二号さん」という呼び方も財産分与の順位を表す整理番号のようで、決して「儒教の国だから云々」という説明は当たらないように思います。どちらかと言うと「家父長制度」が浸透している社会で、財産分与などのルール付を近代化というか西洋化に向けて進めている中で「夫婦」のあり方が整理され、その子の立場も明確になる中で「一夫一婦制」が浸透してきたのではないかと思うのです。

一方で戦後の「民主主義」が台頭してきたのと女性も社会進出することが現実的になり選挙も含めて「男女平等」という概念が台頭してきて、さらに最近では子供を作ることに関しては「女性優位」が言われるようになってきました。「誰の子か判るのは女性だけ」だとか「産む産まないの判断は女性だけ」と子供を作ることに関しては男性は権利を持たない時代に入ってきています。従って子育ても女性優位で男性は扶養費用を提供する立場になってしまいます。時々、産み落としたままで育てない母親もいますが、大概は女性が育てるのが通例になっています。

こうした傾向は徐々にですが進んでいくと思われます。シングルマザーは社会現象としてのみならず、こうした人達が集まり企業活動を展開したり、子育てしやすい職場を創出するなど、環境改善を積極的に進める傾向も見えています。特にテレワークで仕事が出来る時代にあって、女性の労働環境は大きく変わっています。多摩ニュータウンでも女性だけで起業する動きは20年近く前から始まっていますし、そこそこの企業として地位を築いている人の顔も浮かんできます。結婚していても子育て中の母親はドンとしていますし、どっしりと子育てしつつ社会を支えているという自信がみなぎっているようにも思えます。

そんな中、男女の子育てに関する格差は広がっていて結婚しない男性が増え、子を持たない男性が増えている現実を改めて思うと、男性の未来が気がかりです。支える者がいない男性単身者。今後の大きな社会問題にもなってきそうな気配です。従来のように会社が社員の生活を生涯支える雰囲気もないし、完璧に見捨てられてしまって、年金も十分でない男性は生活のために死ぬまで働く消耗品として社会にあふれるのではないかと気に病んでもいます。せめて中国のように「木陰で麻雀する老人」程度にはなりたいものです。

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2017年5月29日 (月)

『国立社会保障・人口問題研究所』その他の一般世帯:2005年~2030年の動きを観る

そもそも「その他の一般世帯とはなんぞや」という疑問が飛び込んできます。統計処理を行う上で情報の区分は基本ですが家族の分類はややこしい。答えは「その他」と「一般世帯」ということになります。つまり分類に入らない家族の姿であり、詳しくは総務省の国勢調査での家族分類のホームページを参考にしてもらいたい。

http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2000/kihon1/00/yougo.htm

上記のホームページには詳細に家族の形を表しているのですが、時代に合わせた家族像が浮き彫りにされています。たとえば「その他の親族世帯」の中でも14に区分されており、その12番目が以下の項目です。

(12)夫婦,子供,親と他の親族から成る世帯

1) 夫婦,子供,夫の親と他の親族から成る世帯

2) 夫婦,子供,妻の親と他の親族から成る世帯

国勢調査では詳細に分けてはいますが、社人研の未来予測ではそこまでの表記は難しいので括られていますが、推計としてはこうしたトレンドを組み入れた予測であることは紛れもないことです。

予測調査では家族型としても本流を探ります。今では本流は核家族世帯から単身世帯に移っています。単身の中でも社会へ出たての若者から余生を送る後期高齢者まで多様です。そしてその多様性が何処かで合体をし始めます。「人は一人では生きていけない」というのが人間の基本です。何らかのコミュニティを受け止めていなければ自己を維持することも出来ません。孤高にして修行に励む僧侶にしても、食を絶っては生きられないのです。人は人と触れて初めて自分が見いだせます。

そんな人間ですから、どこかで「家族」を求めますし、そんな家族が経済や心をも支えます。オウム真理教の信者が潜んでいた住まいを見つけたとき一人ではありませんでした。終戦を知らずに孤高の時間を過ごしていた小野田さんは現地の農民の食料などを拝借し、横井さんも戦友と長く過ごしていた。基本的には孤立しては生きていないのです。そんな人間の性から、様々な家族像が生まれてきそうです。血縁でもない夫婦世帯があったように、法律では結びつかないが家族として結びついた新しい家族像が生まれてくるように思うのです。

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2017年5月28日 (日)

旅日記「アインシュタイン塔」

北緯52°22'43.8"N 東経13°03'50.0"E

1920年から1924年にかけて建てられた、ドイツの建築家エーリッヒ・メンデルゾーンの処女作。ドイツ表現主義の建築として強烈な感動を覚えた作品です。建築1年生の素人学生にとって、建築学科に入学して西洋建築史の授業を受けた時の図集に掲載されていた小さな写真だったのですが、印象深いものでした。図集の中ではいくつかあったのですが、その中での建築物で、単純に好感を抱いた建物の一つです。

「どうやって造るのだろう」という安直な疑問がずっと頭の隅にあったのですが、時代的にはコンクリートで造っていると理解しようと思っていたら、実はレンガ積みにモルタルで形作っているというのがわかったので合点がいった。レンガは積み上げてから削れます。微妙な線を出していく手法としてレンガ積みは最適です。現場でレンガを荒あらで積み上げ、表面を削って形を造る。そして表面にモルタル塗り込んで仕上げするという方法です。実物の表情を現地で見てさらに納得したものでした。(2010.6)

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2017年5月27日 (土)

『国立社会保障・人口問題研究所』ひとり親と子供となる世帯の推移:社会が進化して男女が平等に近づくほど「ひとり親世帯」が増えるはずなのですが

今、吉川英治の平家物語を読んでいるのですが、日本という社会が家制度から始まった文化がずっと繋がっていることを改めて感じるのですが、結婚式の「○○家と△△家」の婚姻の風習は未だに抜けないで敢行されています。どうも「嫁にやる」「婿を取る」など他家に奉公にでも入るような気分で家に嫁ぐことになります。ところがキリスト教文化になると「○○✕子」と「××○夫」の結婚を同席者に問いかけて異論がなければ、相互に誓いを交換して婚姻を承諾するという過程を踏むので、やはり個人主義の成せる技なんでしょう。

日本での婚姻の形がまだまだ家族主義であることからどうしても子育てをするのも家族が単位となり、たとえ結婚しても「娘が子を連れて戻ってきても良い」という考え方が親御さんの方に有るようで、結局、夫婦単位でだめならば親が参加する子育て家庭になり、単身では育てない仕組みができあがっているように思います、アメリカやイギリスでは一人で子育てするのに、子育て専門のナニーや留守中に掃除洗濯をする専門の人など仕組みが整っていて、女性が一人で子育てをするのにサービスを提供するビジネスが整っています。もちろん資力がないとそこまでは出来ませんが、フランスなどでは国家的な福祉システムが整っているのでこうした支援も公的なものが充実しているのです。

最近は家事代行業者が掃除などのサービスを提供する会社も現れ、家事負担の軽減に寄与しているケースも増えていますが、まだまだ全体として浸透していないため一気通貫での子育て支援は難しいようです。余程、経済的なバックヤードを整えて、ひとり親の子育てや生活支援を支援するのを見守る配慮が必要で、ビジネス展開があれば成り立つという段階までには至っていないのが現状です。今後は日本でのこうしたサービスや福祉も充実するとは思うのですが、現状ではまだまだと言う感があります。おそらく10年後には可能になりそうにも思うのですが、日本人の所得のレベルがさらに上っていかなければ容易にサービスを買うことが出来ないので、むしろ子育ては社会的な責任だというような判断で、国家的な事業として推進していってもらうことが大切ではないかと思うのです。

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2017年5月26日 (金)

『国立社会保障・人口問題研究所』ひとり親と子供となる世帯の推移:男と女、結婚と離婚を考える

世界では婚外子の割合が急速に増えていると言うのに日本といえば旧態然としたトレンドに改めて驚いているのです。私の子供がアメリカにいて、当たり前に夫婦でない男女が子育てを分担する家族の姿があるのだということを知らされているので、ステップファミリーなどの形態が日常的になっていることを感じてきました。男女の関係は夫婦ではなくても子供は生まれますし、生む以上子育ての責任は負うのが基本です。そして子育てパートナーは存在し、子も二人の愛情を受けて育ちます。新型の子育てチームですし社会的にも受け止められている現実です。

「寿退社」とか「おめでた退社」など女性が仕事を離れるきっかけが、家族の形態が変わるたびに社会的な地位を奪われます。一旦退社してしまうとそれまでのキャリアは雲散霧消してしまいます。それが改善されつつあることは知っていますが、まだまだ慣例的にというか現実社会では女性の場合は区別されます。「キャリア採用」と「一般事務」という区分けは何なんでしょう。最近の印象として自動車のディーラーに行くと必ずお茶汲みよろしく印象の良い女性が声を掛けて来ます。「何かお飲みになりますか」とメニューを見せてお茶のサービスをしています。これは「一般事務」の仕事だそうです。「キャリア採用」は営業の第一線で働いていますのでお茶汲みはしません。これって変ではありませんか。

時代は変わって、いまでは官庁でもお茶汲みはいません。市長室などに行くと秘書課の女性が相変わらず「粗茶」を出していますが、最近ではどこでもペットボトルを準備して配られます。そもそもお茶を出す習慣がなくなりました。もっとシンプルなのは来客側がマイボトルを持参して「粗茶」はなくなっている会議風景も多く見られます。女性の社会進出を大切にすることは自立して子供を産み育てる基本になります。そろそろ日本もパートナーシップで子育てする社会に入っていかなければ人口減少はさらに厳しいものになっていくのだろうと危惧しています。

子育ては夫婦の特権ではなく、個々の男女が責任を持って担当する時代に入っていくのだという自覚を持って、社会の受け止め方も変わっていくことが必要です。結婚しないでも男女ともに子育て休暇を与えられ、その間の生活支援も社会が受け持つという社会になるのがまずはテーマ。それも個々の会社に委ねるのではなく地域社会でそれを支える仕組みを持つことが課題の核心になりそうです。都心で働いて郊外で生活する人は出稼ぎに行っているようなもの。其の収入は居住地で消費するのだという認識を改めて考えてみましょう。そうなると保育園は絶対的なサポートシステムを保有していないといけないことが見えてきます。

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2017年5月24日 (水)

『国立社会保障・人口問題研究所』ひとり親と子供となる世帯の推移:男と女を比較する

「ひとり親と子供からなる世帯」にカウントされるには「母子世帯」と「父子世帯」という表記は、統計ルールが示す枠に入ることが必要です。その基準が平成22年調査から改正されています。『母(父)子世帯(他の世帯員がいる世帯を含む)新規表章として上記「母子世帯」及び「父子世帯」のほか,未婚,死別又は離別の女(男)親と,その未婚の20歳未満の子供及び他の世帯員(20歳以上の子供を除く。)から成る一般世帯を含めた世帯を「母(父)子世帯(他の世帯員がいる世帯を含む)」として表章します。』となりました。つまり「未婚」が含まれましたので婚外子は枠内になりました。また子供が20歳を超えると「その他の世帯」に分類されることになりますが、たとえ大学生でも年齢で切られてしまうので実態とは異なるかもしれません。言い換えると中年パラサイト・シングルは範疇には入らないということになります。まずは離婚か離別か死別又は離別

まだ、一つ理解できないのは「母(父)子世帯(他の世帯員がいる世帯を含む)」の説明です。同居している子供に20歳未満の子が一人でも居れば「ひとり親と子供となる世帯」にはカウントしないとのことです。また、(他の世帯員がいる世帯を含む)の意味ですが、20歳未満の親族でない子供がいてもカウントするという意味です。里子などを受け止めているシングルマザーもいるのでしよう。そのことは以下の箱内で解説しています。

平成22年調査から,上記「母子世帯」及び「父子世帯」のほか,未婚,死別又は離別の女(男)親と,その未婚の20歳未満の子供及び他の世帯員(20歳以上の子供を除く。)から成る一般世帯を含めた世帯を「母(父)子世帯(他の世帯員がいる世帯を含む)」として表章します。

≪注意点≫

母子世帯・父子世帯についての統計表は,昭和55年調査から利用できますが,55年及び60年調査での母子世帯及び父子世帯の女親又は男親には未婚を含めていません。

特にひとり親世帯に関しては微妙な問題も重なっており、社会風潮や時代背景に合わせて集計方法など修正してきました。DV問題や子供のいじめや差別などが発生する可能性もなくはないので、調査も慎重になります。最近ではインターネットでの申請も可能になったことからプライバシー保護も容易になりつつありますが、こうした統計調査と個人の問題は統計調査のネックとなります。様々な課題はありますが対策を建てるためにも基礎データは重要です。今後も正確なデータ収集に努めていただきたいものです。

最後に「ひとり親と子供からなる世帯」に関する男親と女親の推移ですが男女の伸びは男性が子育てに参加する機会が増えてくるのと社会的な子育て支援の流れが男性にも育休などが採れるようになると打男親のひとり親世帯も増加するのだという認識が高まります。

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2017年5月23日 (火)

『『国立社会保障・人口問題研究所』東京都 2005年~2030年の単身世帯の推移:高齢の単身化が何かを生み出す

男性と女性の寿命が異なるので、その期間について夫婦のみ世帯が崩壊して単身世帯に移行することになります。世帯数としての絶対数は離婚とは異なり増えるわけではありませんが家族の数が複数から単数になることで生き方は大きく変わると聴きます。あくまでも平均的な話ですが、平成27年の日本人の平均寿命は男性が80.79歳、女性が87.05歳で、其の差が6.26年だから高齢単身者は80.79歳を超える前の夫婦のみ世帯の総数が単身高齢女性になるので、それが6.26年間は単身で居続けることになります。だからグラフは正直で、80歳を超えると急に女性の単身世帯が増えています。

高齢単身者の数は2005年から2030年の動きを診ると80歳を超えるあたりから増加傾向が増えていきますが、これが女性の優位の結果ということであり、それに団塊世代の高齢化と重ね合わさって絶対数として増加していきます。2030年には団塊世代は80歳を超えていますので、女性の単身者が増えている段階に入ります。グラフもうなぎのぼりですが2035年はさらに上昇することになります。そして2040年頃をピークにして高齢単身者は下降し始めます。団塊世代がこの世から退出し始めると同時に高齢単身者の数も減ってきます。

こうなると女性の高齢単身者の生き様が気になります。「夫をなくした妻は元気になる」という話をよく聞きます。今まで蹂躙されてきた支配から開放されて自意識が蘇ってくるということから元気になるのかもしれませんが、それは戦中派までで団塊世代の友達夫婦では少し違ってくるようにも思います。ただ、夫婦関係が互いの生き方を束縛していることは事実だから、最後に一人になった場合には離別の悲しみはあるにしても何らかの開放感が伴うことも確かでしょう。

海外では夫婦の単位が崩れ始めています。その関係で婚外子が増え続けているのに日本では夫婦を単位とした核家族化が相変わらず基本です。こうした動きと高齢単身者の増加は関連しているのです。そもそも世界は夫婦を単位とした家族構成から夫婦システムの崩壊に進み出ています。その家族像の変容とは一線を画すように日本の家族像はアジア的と言うか儒教的というかまだまだ夫婦を単位とした家族像が続きそうです。さて、未来の高齢者の単身化を占うのにも最初の家族の作り方から決まってくるのだとすると、子育てなどの社会規範についても迂遠なビジョンが必要なのだと改めて思うのです。

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2017年5月22日 (月)

『国立社会保障・人口問題研究所』ひとり親と子供となる世帯の推移:世界との比較

子供を産む人の数は減っているのに「ひとり親と子供からなる世帯」の数は増えています。日本では戦後の「一夫一婦制」の浸透から婚外子が少なくなり、ひとり親と子供の関係は離婚もしくは、婚外子のひとり親と子供の世帯になります。離婚件数も減少しているなかでは結婚はしないまでも、未婚の子持ち(婚外子)にも認知した父親との親子関係が法的に整えられつつある中で、相続関係も改善され始めています。全体として「ひとり親と子から成る世帯」が増えている現実があり、今後の婚外子のあり方、あるいは支援施策が子供の数を減らさない方向になるのではないかと思うのです。

世界は婚外子を積極的に受け止めるように進んでいます。下図にはアメリカと日本の婚外子の比較図を掲載しましたが、アメリカでは生まれる子供の40%が婚外子という状況になっています。国際比較ではフランスが56.7%を婚外子が占めており、福祉が整っているスウェーデン、デンマーク、オランダなども子供の生まれる環境が様変わりです。日本と香港が儒教の国として低い堀合ですが、人口低迷にあえぐ日本という現実を考えると今後の婚外子に対する支援がポイントになりそうな気配です。

戦前では「一夫多妻」が現実的な社会的寛容であったことから日本でも婚外子は7%程度あったようです。それが戦後の「一夫一婦」が基本の夫婦単位となりましたが、これからは「一夫」と「一婦」共に子育ての核として認められる社会にならなければと思います。実のところ男女を単位とした「夫婦」を単位とした社会は崩壊しつつあります。同性同士の婚姻も認めようという流れの中で次第に戸籍制度も変更を求められています。男性同士、女性同士がカップルとして法的な保護を受け、そこで育てられる子供もあるのが社会になりつつあります。

憲法改正に議論が湧いていますが、日本国憲法の第二十四条『婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。』とあり、『夫婦』とは『両性』を前提となっています。実にひとり親の問題は憲法改正にまで迂遠している課題でもあるのです。

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2017年5月21日 (日)

『国立社会保障・人口問題研究所』夫婦のみ世帯はこれから減ってきます

離婚の増加、結婚しないで出産子育てする世帯、結婚しても別居する夫婦、子育て中は親と同居する三世代同居、パラサイト・シングルの増加、パラサイト中年の顕在化など、夫婦を単位とした家族像が崩壊しているように思います。以前、「フランス家族事情」浅野素女 (岩波新書1995)を読み、日本の家族像もこれに近づいてくるはずだという確信を得たのですが、果たして次第にその懸念は現実化しているのでしょうか。

まずは離婚件数の推移ですが、意外と減っています。そもそも結婚年齢人口が減っていることもありますので、全体に低迷する数字ですが、社会状況が変わっての離婚率の増加ならば顕著に数字として出るはずですが、日本社会の特徴でしょうか。離婚率も離婚件数も増えていません。これはアメリカやフランスのようにシングルマザーなどへの支援対策が遅れているという裏返しのようにも思えます。相変わらず「婚外子」なんて差別用語にも思えるような名称を使っている日本ですから子供の幸せを考えるとどうしても離婚できないというのが本音ではないでしようか。離婚しても女性の社会的な地位が確保され収入も安定しているという条件が必要になります。

改めて「夫婦のみ世帯」について社人研の将来推計を見ますと、2020年をピークに減少し始めます。団塊世代の夫婦のみ世帯が分解し始めているのです。離婚というよりも片方の死別によって夫婦のみが解消されていることになります。なんとも悲哀を感じるのですが致し方ない結果でもあります。夫婦のみ世帯の多い年齢層は熟年から高齢者層に集中します。60歳を超えると俄然存在感を高めますが、団塊世代が終末を向かえることで夫婦のみ世帯は減少期に入ります。医療の発達で長生きすることでその低下を抑制することは出来ますが限界があります。

一方、若者の間では子供ができるまでの一時期に「夫婦のみ世帯」が成立することになります。一部では子供のないままの世帯もいますが基本的には結婚して子を持つという考え方ですので、「夫婦のみの世帯」が目的というケースは少ないようです。従って子を持たない限りは結婚すらしないという考え方の「できちゃった婚」が一般化しているのも一つの社会現象かもしれません。

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2017年5月20日 (土)

『国立社会保障・人口問題研究所』東京都 単身世帯の推移:2005年~2030年の男女の動きを観察する

男女別の単身世帯の動きを比較してみると、まずは高齢の女性単身者が急増するのに驚きます。もう一つ気づくのは、単身者は男性が圧倒しているという事実です。男女の数が同じだとするとシングルが男性優位であるという事実です。一夫一婦制ということからすると均等であるのに欠かわせずですから、群れない男が多いというか群れないのが男の習性ということもできます。一方で結婚しない男性が多いということからも類推できますが、女性の場合には何らかの家族との関係を求めるということです。まあ独りでは経済的に成り立たない社会でもあるという言い方もできますが、いずれにしても女性は群れて住む習性があるようです。

たとえば「ひとり親世帯」では女性が優位ですし、反対に離婚した男性は「単独世帯」になります。最近では女性が単独で子供を生むケースも増えてきて、婚外子(こんがいし)と呼ばれていますが、その場合も女性は「ひとり親世帯」になりますし、家族形成に男性は係わりません。高齢夫婦のみの家庭では最終的には男性が先立つと女性は一人になり「単独世帯」になります。一方で、子育て中などで核家族が多い年齢層では、独身率の高い男性が「単独世帯」の優位性が高くなり、男性の平均寿命の80歳を超えたあたりから女性の単身世帯が急増するのです。なんともリアルな話です。

そもそも男尊女卑の日本国の流れから、世帯を形成すると男性が世帯主になるので女性が表に出てきませんが、基本的に子供との家族形成は女性優位ですし江戸時代ではないので子供の産む産まないの選択は女性のみの判断になります。誰の子を産むかも女性の選択という時代の流れの中で次第に男性の役割は希薄になりつつあるのです。そうなると単身男性が多くなるのも止むを得ないでしょう。

総じて「単独世帯」の増加現象は家族形態が崩れてくる始まりで、日本社会に置ける家族制度の崩壊の始まりでもあるのです。「多家族世帯」主であった時代から核家族の時代に入り、「夫婦と子供からなる世帯」が減るとともに核家族が減って、その分単身世帯が増えるのですが、やがて核分裂社会となり「単独世帯」が主になる時代に突入します。今はまだ半数には至りませんが、その傾向は止むことを知らないようです。

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2017年5月19日 (金)

『国立社会保障・人口問題研究所』東京都 2005年~2030年の単身世帯の推移:高齢の男女格差が凄まじい

2030年の男性と女性の単身世帯数の差は明らかに寿命の差が世帯数に影響を示していますが、特に健康との関係ではさらに男女格差があるのです。以前、研究でご一緒した東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授秋山弘子先生の論文で、男女の高齢期の健康の推移を調べられた20年間のデータを集めて分析した調査があります。その特徴は高齢期の健康の推移が個人によって異なることと、特に性別により健康に関するパターン化が極めて明快であるという事実を長期データ収集で証明された論文です。

それは男の10%は元気で長生き、70%は70代で急速に体力が衰えて行き、あとの20%は60代から病気などで人生から脱落して寝たきりが続くという3パターンで分類されるそうです。また女性の90%近くは70代を超えると体力は次第に落ちていくもののそのスピードはゆっくりで長生きする。そして残りの10%近くは比較的若いうちから何らかの病気で一挙に体力が落ち、医療を受けながら長期に行き続けるというパターンです。どちらにしても終末の迎え方を占う生き様ですが、このように整理されると、「私のパターンは???」と当てはめてしまいたくなります。男の場合には加山雄三さんみたいに元気で居たいなと考えるのが常ですが、10%に入れれば良いのですが、そうも行かないのが現実です。

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実際、長寿命の女性と男性との格差は加齢するに伴って広がっていきます。特に今後は後期高齢者が増える時代に入ります。その時、男女差はさらに広がりを見せます。後期高齢者がピークを迎える2030年、医療技術やその費用などが合理的な改善が行われていかないとパンクしそうな勢いで医療費や介護費用が増大しそうです。いくら高齢者の貯蓄があっても不足するのではないかとも思える勢いです。こうした動向が収入や貯蓄とバランスを持った地域経済の循環をいまからしっかりと考えていきたいものです。

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2017年5月18日 (木)

『国立社会保障・人口問題研究所』東京都 単身世帯の推移:2005年~2030年のシニア世代から高齢者世代が単身世帯数を増やし続けている

従来なら若者が単身世代を牽引していたのだと思っていたのですが、今では高齢者が単身世帯を引き伸ばしているのです。特に80歳を超えると単身女性が急速に増えていきます。平均寿命の関係から当然といえば当然なのですが、三世代同居などが減ってしまって家族の形が核家族の延長線上の姿として「家族」に固執する生き方ではなく、夫婦を単位としたコンパクトな家族形態になり、最後は独りになることに落ち着いてきたように思います。

戦後の都市集中の動きがこれを助長し形成したのですが、日本社会には致し方ない状況だったと思えます。それは世界でも同様な動きで都市集中は世の習いだったのですが特に戦後の日本はそれを顕著なものにしました。首都機能と産業機能が集中するアジアの経済を牽引するセンターとして、米国に次ぐ経済大国に躍り出たのですから当然です。それを支える国民が東京に集中します。商都として栄えた大阪圏を配下にして東海道メガロポリスの頂点として全国から人と財を集中させていったのです。

やがて東京に集中した人口は家族を形成し多様な生き方を選択していきます。多くは家族をつくり子供を育てて家を持ち東京を第二の故郷として老いていきます。そもそもの「家族社会」があった地方を離れ、東京という一極集中に加担した人々が個々に核家族という単位を育て、そして高齢化して単身化していくことを選んだことになります。それが都心を中心としたスプロール現象として郊外に拡大しドーナツ状に住宅市街地を展開させた都市化現象の行末になります。

子育てが50代で終わると夫婦のみになりますが、さらに単身化します。其の時にいずれは子供と一緒に住むなどの希望や選択はありますが、子を持たない夫婦世帯も多いので、確実に単身世帯になる高齢者は増えます。それは団塊世代の高齢化のみならず、2030年には団塊ジュニア世代が55~59歳に達することから次なる単身世帯の山を形成し、高齢化に伴いさらに単身世帯の増加が築かれるのです。というのも世代的に離婚率も増加して行く可能性も高く、従来の夫婦関係ではなく戸籍上は夫婦でありながら別居するとか、ひとり親世帯の増加で子供が世帯分離することでの単身世帯の増加など、多様な要因が増えることからさらに単身世帯の増加が促進されるように思うのです。

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2017年5月17日 (水)

『国立社会保障・人口問題研究所』東京都 単身世帯の推移:2005年~2030年の中年世代は団塊ジュニア世代が牽引する

一方、30歳代後半から50歳代前半は子育て世帯が主流になるので単身世帯は絶対数としては減ってきます。とはいえその世代でも団塊世代ジュニアが多いので単身世帯も団塊ジュニア世代を中心にピークが推移していきます。35~54歳の年齢分布の単身世帯数の推移もその時に団塊ジュニアの年齢に因って左右されてきます。この社人研の推計も2005年から2030年の推移ですから団塊ジュニアは2005年には35歳から39歳の枠にいたはずで、結婚などでの世帯形成をしていたので単身世帯としての数は減らしています。

それが2010年になって世帯形成が終わると単身世帯もはっきりしてきます。時代に合わせて波を打つように単身世帯の数が推移していきます。40歳代になると確実に子育て年齢にも達してくるので単身世帯率が減ってくるように見えますが、50代になると子離れも始まり、単身世帯化も増えていくのが団塊ジュニア世代の特徴でしょう。団塊世代がピークを迎えた後の世代は次第に人口も減少しますが、単身世帯も減少していきます。団塊ジュニア世代も人口的にはピークが顕著ですから、それに連なる世代の単身化も同様な推移を経て行くものと思われます。

その後の世代については人口も減ってくるので必然的に単身者は減少していきます。改めて昭和の出生数の推移グラフを参考にしてみると団塊ジュニア以降の単身者推移も出生数のグラフに匹敵する動きを示しています。丁度、日本の住宅事情が大きく変わったのがリーマンショックのときだと理解しています。その後の日本の住宅は人口減少と相まって特に地方での空き家問題が顕在化していきます。これまでの商店街のシャツター街化ではなく、郊外の戸建て団地の空き家化が問題になった時代だと思います。それが現在も尚続いているのが現状です。

郊外の一戸建て住宅で単身になるという不幸は明らかに住まいが重荷になります。庭の手入れ、部屋の清掃、家の修理など手がかかるものばかりです。特に長寿の女性が残った場合には力仕事は困難です。豪雪遅滞の村落では「雪かきバスター」なる支援団体が活動しているのを報道などで知ります。それほど高齢者の単身居住は難しいというのがわかります。それは都会も同様です。戸建てもそうですがマンション住まいだってエレベーターの無い階段団地居住は大変です。

話題が高齢者になってきましたので、次回は55歳以降の世代について単身世帯の状況を探ってみたいと思います。

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2017年5月16日 (火)

『国立社会保障・人口問題研究所』東京都 単身世帯の推移:2005年~2030年の若い世代は減っていく

団塊ジュニア世代をピークとして次第に出生数が減少しているので、それに準じて単身世帯も減少するのではないかと思うのですが果たして若い世代の単身世帯は減少し続けます。特にリーマンショックをきっかけとして単身世帯が急速に減少していますが、基本的に経済的な現象だと捉えています。大学などの選択が「都会よりも地元」の大学や職場を選ぶ傾向が増えてきたという時代です。ポプュリズムの台頭とは言いませんが「安近短」の傾向が見られます。

まずは成人する前の年代については自宅から高校なり大学、あるいは職場に通勤通学する人が増えています。以前のように地方から都会に出てくる若い世代が少なくなっていることや親の経済状態の変化に対応して地元意識の芽生えなどで定住傾向が強くなっています。さらに人口そのものが減っているということも左右して単身世帯は減少します。その流れは晩婚化も重なり20歳代も含めて30歳代前半の単身世帯数の減少にも観られます。住宅事情にもその傾向が現れていて、単身用の賃貸物件の空きが凄まじい勢いで増えています。

多摩市の例で言えば住宅・土地統計調査にも現れていますが、現実の賃貸物件の増加にも驚かせられます。現状の住宅流通の専門サイトであるSUUMOでの賃貸募集戸数が多摩市では8,076件とあります。重複募集もあるとは思いますが、多摩市の民間賃貸に住む戸数18,525世帯(平成27年国調)の44%、公的賃貸住宅を含めて27,916世帯が住まわれているのですがその29%にも匹敵する賃貸空き家が募集されていることになります。その数は膨大です。それにも関わらず新規のワンルーム賃貸住宅を建設している状況もあり、今後の賃貸住宅経営を危険に陥れる条件は顕著です。

実態として公営住宅には60歳になれば高齢者が単身でも申し込めますし、年金ベースの家賃だと1万円もしないで住み続けられますから空きはありません。公営住宅は数に限界がありますから、低家賃に入れない高齢単身者は旧公団や公社などの低家賃の賃貸住宅に集まります。もちろん多摩ニュータウン以外からも公営住宅に入れなかった単身者が集まりますし、ワンルームでは満足しない中年以降の単身者も公的賃貸住宅を狙って入居します。だから旧公団の小規模賃貸は単身世帯が集中しています。

とは言いながら公的賃貸住宅の空き家率も17%程の空き家が観察されていて、賃貸住宅全体に空き家化が始まっています。

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2017年5月15日 (月)

『国立社会保障・人口問題研究所』東京都 単身世帯の推移:2005年~2030年を縦横に

東京都では独り者がまだまだ増えていきますが、孤立した生き方を求める人が増えているわけではありません。必然的に単身化を余儀なくされる世帯が多くいるという状況が背景にあります。それは世代によって大きく違いがあるようです。東京の場合、転入による社会増で、今後も人口が伸びるのですが世帯数は世帯分離でさらに伸び続けていきます。社人研の推計では世帯数にといては2025年にピークを迎えますが単身世帯は増え続けていて、一向に減る気配をみせません。

これらについては東京都全体としての社会現象ではあるのですが、全体として捉えるだけではなくその原因についても究明してみたいと思います。特に影響するのは世代別の人口推移と当該年代の家族状況などが直接的に世帯数を左右させています。若いうちに独立して生活を始めると単身世帯になりますが、親元をはなれて生活するのか、それとも親と同居しつつ就学や就職をするのかにより家族の形が変わっていきます。つまりそこが単身世帯としてカウントされるか否かの違いになるのです。

また、高齢者の場合にも夫婦世帯のどちらかが他界されますと単身世帯になります。最近では単身になったからと行って子供と同居をするのではなく、一人で生きる元気な単身高齢者が増えていますので、若者だけではなく高齢者の単身者も増えています。住宅・土地統計調査だったと思うのですが、賃貸に住む高齢者世帯の30%が身寄りのない世帯だという結果が出ていました。確実に単身者は増えますし、特に長寿の女性の単身世帯が増加します。こうした単身高齢者の場合には概ね持ち家なのでそのまま居住を続ける事になりますが、高齢化しての賃貸住まいについては入居拒否などで悲惨な状況があることが報道などで見受けられます。特に都市部では賃貸住まいの単身高齢者も多いので、こうした方々の住宅確保は困難を極めます。UR賃貸などでの対応はありますが、年金生活をベースにするとより家賃の安価な公営住宅が望まれます。

賃貸オーナーとしても貸しやすい若者の数が減り、一方で単身高齢者の入居が困難だとすれば、単身世帯の居住ニーズはあるはずなのですが、高齢者に対する門戸の開放ができなく、需要と供給のマッチングが損なわれていると言えます。このように家族の成長変化が居住のあり方などと結びついて、住宅市場の不均衡や需要の齟齬をきたしている中で、世代の違いに依る家族の変化と単身世帯の動向を見る中で東京という都市のあり方を垣間見てみたいと思います。

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2017年5月14日 (日)

『国立社会保障・人口問題研究所』東京都の世帯主年齢の推移:2005年~2030年

2005年の世帯主年齢のピークは1947年1948年1949年生まれのベビーブーマー世代「団塊世代」が55~59歳であることとその子供世代「団塊ジュニア世代」として30~34歳が二つのピークを示しています。その後の5年毎のピークについては次第に団塊世代がピークを下げ、団塊ジュニア世代が台頭してきますが、2030年ではベビーブーマー「団塊世代」の山はほとんどなくなり、ジュニア層の山のみとなります。

こうした一連の動きは戦後の出生政策の結果として日本独特のものですが、さらに2030年を過ぎるころには極端な山はなくなり、比較的きれいな正規分布が現れるのです。まだまだ日本の人口構成は歪ですし世帯の年齢層も偏りがあります。だからといって一挙に修正できるものではありませんから、ゆっくりと日本という国を正常に戻す努力(余り効果のある施策はないですが)をしなければなりません。その為には少子化対策が欠かせません。

ところで東京都の世帯数の動きですが、日本全体で人口減少が問題化する中で2025年辺りまでは世帯数は伸び続けて行きます。それは人口のピークであるベビーブーマー世代とその子世代であるジュニア世代の人口構造に由来しています。世帯主だったベビーブーマー世代から世帯分離した子供世代が次第にピークを迎えます。それも親世代よりも飛び抜けて世帯数を増やすことになります。なぜでしょう。それをこれから解き明かしていきます。

東京という不思議な都市は地方都市とは違った動きを示します。それは単身世帯の増加です。結婚しないで生涯を通すシングル世帯が増えますし、離婚も多くなります。そうなるとひとり親世帯が増加して世帯数は増えていきます。また、高齢者の1人住まいも増えてきます。女性の長寿化はシングル世帯を増加させるのです。夫婦と子供世帯という標準的な核家族の姿は次第に少なくなりますし、結婚しないでも子を持つことも増えてきます。

東京は多様な家族が混在する社会になっていきます。地方では夫婦と子供世帯がやはり多くて、共働きといっても子育て中は幼稚園など教育環境を充実させた育児が中心で、専業主婦も比較的多くなるでしょう。また、農業などへの関わりも比較的容易ですから、家庭菜園をさらに上を行く自家栽培などの兼業農家も増えてくるものと思われます。インターネットなどの環境が整っているので、自宅での仕事も可能で世界市場でのトレーダーなどのビジネスも可能になってきます。地方と都会との区別がより広がってきて、本当の幸せは何なのかを改めて考える機会にもなるでしょう。

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2017年5月13日 (土)

『国立社会保障・人口問題研究所』多摩ニュータウンに診る、高齢化と経済

「多摩市の高齢化は三多摩一です」とは最近の多摩市長の挨拶に必ず出てくる言葉です。其の次には「財源が厳しいのです」ときます。確かに将来は群を抜いて高齢化しますが、「高齢化イコール財政危機」とはならないのが現実ではないでしょうか。先のブログにも明記しましたが高齢者世帯の預貯金は1世帯2400万円を平均とします。また世帯の所得は20代と変わりません。つまり所得については「高齢者イコール若者」ですし医療介護等の費用は高齢者そのものがすでに持っていて、さらに所得の殆どは年金収入なので、ある意味では不労所得で、病気になっても死なない限り確実入ってくる失業対策の必要ない収入なのです。特に医療費や介護費用は高齢者が持っている資産から支払い、その費用は介護に携わる就労者に直接渡る生活費になるのです。まさに地域での経済循環が成り立つ環境なのです。実は多摩ニュータウン地域は経済的には理想社会なのです。

多摩ニュータウンの成因の目的は都心に勤務するサラリーマンの居宅を確保することにありました。従って勤労者にふさわしい住宅、当事の3LDKを中心に供給したのです。いわゆるホワイトカラーの住宅を供給したというイメージが強く、工場勤めのいわゆるブルーカラーではない、ワンランク上の勤労者の生活の場としてエリート意識を高揚するように勧誘しました。今では差別用語に指摘されそうなネーミングですが、当事は通常の用途に用いられていたものでした。

時代は町工場の時代でしたので、ブルーカラーは大田区や川崎市などの職人がイメージされ、ホワイトカラーは丸の内や港区などの業務ビルで働くサラリーマンがイメージされ、その為の多摩ニュータウンという位置づけではなかったかと思います。当事もこうした人々が多摩ニュータウンに移り、住宅所有を実現していったのだと思います。こうした新住民はその後、至極当たり前に住まいを売却して新たな住まいを取得するという「住宅すごろく」を具現化して「上がり」でもある戸建て住宅を取得して高齢者になるか、ローンで手に入れた団地の住戸に住み続けてしまった方々が、古くなった住み慣れた住まいを離れられない悲哀を感じつつ、現状のままに住み続けているという状況でもあります。

実はこうした住み続けている高齢者の貯蓄額は平均して高齢者世帯の平均貯蓄額を確実に確保しているものと見られます。多摩ニュータウンの不動産価格がバブルで高騰したときには移る機会を失って、その後のマンション供給が民間シフトにたなびいていった後ではすでに新築価格が高すぎで手が出ないという状況になっていました。2400万円の貯蓄では買えないのが多摩ニュータウンのマンション価格です。だから多摩ニュータウンの高齢者の貯蓄は使えないままにあるのです。

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2017年5月12日 (金)

『国立社会保障・人口問題研究所』働く人の数が減っているというが

「高齢化が進み、支えきれない」という悲鳴が聞こえてきます。確かに働く人の数は減少していますので高齢者を支えるのは大変そうです。そこにいるのは私も含めて65歳以上を指す老年人口の増加と働く人を指す生産年齢人口(15~64歳)の減少ですが、今の高齢者は65歳、いや68歳、さらには70歳までは働くのが当たり前になりつつあります。実際、雇用環境は次第に良くなり労働者不足は社会問題化してロボットに置き換える研究がここかしこに現れています。少なくとも掃除ロボットやレジの自動化や電車バスの自動改札は当たり前の自動化が進んでいます。それに自動運転までが今やIT産業の革命的な動きとして世界で競い合っている状況です。

労働市場は売り手市場ですが、もう一方で日本の貯蓄事情があります。内閣府の情報では高齢者世帯の預貯金額は平均2400万円を超えています。この資産は個人的な高齢化対応の為の準備金であり消費していません。現実的には老後資金として蓄えている資金ですが、病気や介護の不安が生み出した預貯金で、社会が高齢者を支える環境が整っていれば不要な資産です。持ち家率も94%ですからその資産を有効活用できるはずですし、結局は蓄積された資産は後世に残される資産ともなります。現実的には年金受給額も高く、年間世帯収入は20歳代と変わりありません。

私の周りでも子供や孫の祝や家づくりに際して大枚をはたいたり、子供への生前贈与などで計画的な資産移譲を行っている高齢者も見かけます。もちろん高齢者にも階層がありますので出来る人とできない人の差はあるのですが、若い世代にいずれは譲るものですので、政府も良くしたもので生前贈与についての施策に知恵を絞っているようです。

多摩市の高齢者の状況を見ても働く世代を押しのけるように増えていますが、こうした高齢者には資産があるという見方をすると多摩市の市民の総資産は着実に増えているという言い方もできます。この資産を有効に活用する社会環境づくりが市政に求められているのではないでしょうか。高齢者の資産を子供や孫に残すことを容易にする施策が地域の経済循環を助けることであり、若い世代の安心にも繋がるのです。

一方、子供の数は減っています。子を育てる世代人口が減れば必然的に子供も減ります。しかし、今後は高齢者の資産や住まいが孫子のものになります。そうなるとあえて無理をしての住宅ローンは必要なくなり、多少のリノベーションをすることで殆どが持ち家を取得できるようになります。時代は高齢者に負担を感じるのではなく高齢者の資産を活用する時代に入っていくのだという心構えが大切なのではないでしょうか。

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2017年5月11日 (木)

『国立社会保障・人口問題研究所』2066年、世帯数が減ってくる時代に多摩ニュータウンの住宅はどうなる

多摩ニュータウン学会が毎年出している学会誌に「多摩ニュータウン研究」があります。毎年その巻末に多摩ニュータウンの人口を紹介している報告があり、貴重な情報として利用させていただいています。著者は元公団OBの横山陽さんです。これまで各号で紹介され2010年から2015年への多摩ニュータウンの人口推移を提示されています。これを集計したものが以下の図です。

データを観るのに多摩ニュータウン全体として人口はどうなのか、各自治体にとって多摩ニュータウンとはどういう位置にあるのかなど様々な捉え方があるのですが、まずは多摩ニュータウンに於ける各市の役割を明確にしておこうというのがこのコラムの目的にしましよう。とすると多摩ニュータウンでのここ5年間の各市の人口はほぼ一定を示しています。多摩ニュータウントータルでは微増ですが、各市のトレードを観るとほぼ一定といって良いくらいです。

世帯分離で人口減少が顕著だった多摩市も駅前マンションの新規供給や大規模立替などで現象が緩和され安定した人口規模で保たれています。現在も多摩センター地区では駅前マンションが引き続き供給されていることや立替などの事業が進んでいることもあり、人口増加の傾向はあるので多少の新規供給に依る増加と既存住宅の世帯分離に依る人口減少が相まって安定的な人口推移を重ねると考えられる。

一方、すでに人口増のトレンドが止まったかに見える八王子市域では戸建て住宅を中心とした未利用地が残っており、これらの処分により人口増加も期待されます。しかし、現状の建設物価や市場価格の高騰などで売れ行きが思わしくなく、各ディベロッパーについては売れ残りリスクを取ってまで開発を進めようとするインセンティブが無いようで、オリンピック需要や東北などの震災復興が落ち着く2019年あたりまでは土地はあっても着工は遅れるような気配です。

地方と違い、多摩ニュータウンの住宅需要は堅調です。郊外の戸建住宅を処分して利便性の高い多摩ニュータウンに移住するケースは多いと思われます。また、若いファミリー世帯も両親の資産をベースにした三世代同居などもニーズとして潜在していて、戸建住宅の需要も高いのです。八王子市域に残っているこうした戸建用宅地にはこうした住宅需要が集中して人口も張り付いてくるものと思われます。従って八王子市域の人口は保たれるでしょう。同様に隣接する町田市も余っている宅地開発が順次行われて、リニア新幹線駅を見下ろす高台の住宅地として開発されていくものと考えられます。

結論から言いますと、今後多摩ニュータウンは10年から20年は人口が安定した時期を過ごし、その後に安定的な減少と言いますか、ゆっくりとした世帯分離、あるいは高齢者の減少が続いていくのかなと思っています。

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2017年5月10日 (水)

『国立社会保障・人口問題研究所』多摩市の人口や世帯数の予測をしてみましょう

「国立社会保障・人口問題研究所(社人研)」のデータは私の仕事ばかりではなく趣味的な情報収集にも大いに役立っています。手元に「市町村人口推計マニュアル」石川晃著(古今書院1993)があります。社人研の「人口情報部人口解析センター室長」の著書として出版されています。内容は読んで字のごとく自治体の人口を推計するのですが、基本的にはコーホート法が基本になります。年齢別の人口をベースとして死亡率と出生率で自然増減を把握して、それに転入転出を加えます。それもそれぞれの要素にトレンドがあり、死亡については医学の進歩や高齢者施設の有無で当該自治体での死亡数も率も変わります。また、出生は子を産む世代の状況で左右されます。自治体によって合計特殊出生率も変化しますので、それに併せた計算をします。社人研ではこうした手順を踏んで将来人口を推計します。

人口推計に正確を期すためにはこうした手順を踏むことになりますが、私のような無精者にはこの手順は面倒になります。「大体の答えがほしい」と思うので、社人研の発表しているデータからアレンジして推移を探ります。以下の図は人口推計は社人研、世帯数推計は秋元が行った結果のグラフです。世帯数の推計は1世帯あたりの人口推移をトレンドしています。社人研の採用している人口値と世帯数推移から世帯あたりの人員を出し、その推移を特性としてトレンドさせて世帯数を計算しました。

さてここからが皆さんの仕事です。2060年の多摩市の人口と世帯数を推計してみてください。多少都市計画を勉強している人は、ここでは回帰曲線を計算するなどを考えます。一次回帰線、二次回帰線、ロジスティック曲線など単なる仮定を前提とした線形を想定します。私の感覚ではフリーハンドで伸ばしていくのが最もリアリティがあるようにも思えます。「いい加減だな~」という評価はあえて受け止めるとして、人間の感覚は大切なのです。結局はいろいろな想定を行ったとしても「こんな感じかな」という所で定めるのが推計です。

私の当面の課題は2066年です。その時代が多摩ニュータウンにとってどういう社会になっているのか、経済状況はどのようになっているか、人々の生活はどうなっているのか、特に住まいは、今ある住宅の利用については、などなど課題は多くあります。それを推計する基礎となるものが人口であり世帯数だと思うと、其の振れ幅によっての社会変化も想定してみなければわからないという答えになります。

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2017年5月 9日 (火)

『国立社会保障・人口問題研究所』出生・死亡

「日本の人口」は海外との転入転出がなければ、日本国内の出生と死亡で人口が固定されることになります。そして其の差が人口の増減になるのです。死亡数より生まれる数が多ければ人口は増加しますし、出生より死亡が多ければ人口は減少します。当たり前のことですが、それが人口を左右する基本です。

明治以降、日本は戦争の世紀に入ります。日清日露と度重なる戦争を経て太平洋戦争に向かいます。日清日露の戦争は外地での戦争ですから国民の生活には直接影響はありませんが、経済的には大変でした。とはいえ勝利する戦争なので国民の被害は少ないのです。やがて太平洋戦争に突入します。最初のうちは海外戦でしたがすぐに国内戦になりました。「産めよ増やせよ」という掛け声のもとで出生数が急増しますが死亡数も多くなります。なんとか生まれるほうが多いので人口も増えていきます。でも終戦と戦後すぐは惨憺たるものです。

子作りに励むことができる男性は兵隊になり子作りが一挙に落ちていきます。そして終戦です。戦地から戻って来た家族は子作りに励みます。一挙にピークを迎えて国も慌てます。戦後経済のどん底の中で子供だけが増えると大変です。国は「産児制限」を行います。1948年に優生保護法(昭和23年)が制定され、人工妊娠中絶が合法化されます。これによりベビーブーム(1947~1949)の後、出生率は急激に低下したのです。あの当事を思い出しますと身近にもそんな影響があったように思います。

それからはベビーブーマーである団塊世代の子どもたちが出生数を高めますが、それ以降は子供を生む女性の数そのものが減っていきますので必然的に出生数は減っていきます。同時に高齢化も進んでいきます。当然の様に死亡数も増えていき、2008年当たりで出整数と死亡数がクロスするのです。「人口減少時代に突入した」とショッキングに報道されましたが出生と死亡の動きはそれほど変わらない動きとして推移しています。

幸い、日本経済は堅調です。雇用環境も改善され平成不況はどこ吹く風です。「高齢者が若者の雇用を奪う」などという懸念もなく、新卒の就職率は世界的に観ても最良な環境にあるのではないでしょうか。おまけに高齢者の雇用も順調です。実際、年金だけでは生活できない高齢者も多く、こうした人々の就業の場として多くのサービス業が就業環境を提供しています。これを観る限り人口減少の齎す問題や課題は生まれていないようです。

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2017年5月 8日 (月)

『国立社会保障・人口問題研究所』未来を想像することは過去を振り返ることでもあります

以下のグラフは1872年明治5年から始まりますから2015年までの143年間の日本の人口推移です。思えば凄まじい人口増加の歴史でした。明治当初は35百万人程度だった日本人は太平洋戦争時には二倍になりさらにピーク時では終戦時より50百万人も増えてしまいました。今はピーク時から下がり始めていますが増えてきた過程では様々な出来事がありました。

1868年明治元年は1853年の黒船来航から15年後ですが、紆余曲折の末に江戸から東京に時代が一新しました。人口統計もそれを機会に発足して現在の統計までの推移を共有の財産として残していますが今後の日本は、戦後の人口の伸びと同様なスピードで人口減少が始まると考えて良いのです。戦後増えてきた人口に併せて都市が形成され市街地が形成されたのですが、減っていくスピードに併せて都市が縮小していくのです。

戦後、人が増えていくに連れ住宅地が拡大してスプロール化していきます。ドーナツ化現象という市街地拡大の現象から縮小の時代に変わります。特にドーナツを形成している住宅地は今、空き家問題に頭を悩ましています。それは持ち家の一戸建ての空き家です。個人所有ですから個人の問題として処理しなければなりません。だから多くは放置状態になります。それが社会問題化しているのです。特に住宅ブームでもオイルショック前の宅地開発ブームの置き土産の住宅団地は悲惨です。丁度、田中角栄の日本列島改造論が山を迎えていた不動産バブルの時代に多くの別荘地開発が生まれました。山林を取り崩して宅地を作ります。

その時代を司馬遼太郎が「土地と日本人」で当事の土地開発を憂いしています。実は学生時代ですが私も日光のあたりで開発のお先棒を担いでいたのです。今思えば別荘として売り出していた宅地に毎週のように東京から購入者が見学に来ていましたし、その不動産会社は景気がよく、毎月二回は宴会で東京と現地での宴は若き私の体験としては刺激的なものでした。それが見事に弾けるのです。私は一年足らずでその会社を辞めましたから会社の行末は知らないですが、その後に残った同僚と飲んだときには貧乏学生におごってもらった記憶があります。それからもう50年近く経っているのです。そういえば最近高校時代の同級生から同窓会の誘いがありました。高校を出てから50年という半世紀が過ぎています。ついつい「○○先生は生きているか?」と尋ねてしまいました。恐らく80歳くらいでしょうか、ちゃんと生きていました。

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2017年5月 7日 (日)

『国立社会保障・人口問題研究所』今後10年後の日本の人口は5%減る

2016年10月1日現在日本の人口が126,193千人であり、10年後の2026年10月1日には119,891千人になることが予測されているのだが、6,302千人、約5%の人口減少は私達の生活に何を及ぼすのでしょうか。2036年111,176千人が2046年101,185千人に9,991千人約9%減ります。最終年の推計は2060年86,737千人ですから2050年97,076千人からの10年間で10,339千人、約11%減ることになりますが、其の頃の人口規模からすると東京都の人口がなくなるほどの動きです。さてそのことが私達の生活に何を齎すのでしょう。なんだか人口減少が空恐ろしい天変地異を日本人が体験するような気もしてきますが、どうなんでしょう。

私は仲間と2066年を考える会を発足させています。2016年に立ち上げたので「50年後を考える」というテーマでもあるのですが、この調子で人口減少が続いていきますと2066年には日本の人口が81,356千人ということになります。今より約36%44,837千人減っていることになります。今生まれた子供が50歳になったときの話です。それが日本の状況です。もちろん家は余るでしょう。私が建築を勉強し始めた頃、そう50年前になりますが、其の時に先生から伝えられたことに「イタリアでは古い建物をリフォームするのが建築家の役割で、日本は新しい建物を建てるのが建築家の仕事なのだ」と教わった記憶があります。「イタリアの建築家はかわいそうだな」と素朴に思ったことがあります。それがまさに日本でもあるのです。すでに新築物件はフリーの建築家の仕事ではなくリノベーションの時代に入っています。大規模建築は組織事務所かハウスメーカーで設計するので独立した建築事務所を経営するなどは夢また夢の世界になっています。

そして更に50年後の建築家の役割はどうなっているのでしょうか。今、活躍している安藤忠雄や伊東豊雄、隈研吾、坂 茂という有名建築家は世界的にも活躍していますが建築家の中でも一万人に1人という確率でビジネス的に成功している人であり、今後は建築界にデビューしてもビジネスとして成功する人は極めて少ないと思います。時代的には既存建築のリノベーションを設計テーマとして建築界にリファイン建築を提唱して活躍している青木茂もまた時代を率いる1人ですが、各々の多くは20年後は現役ではいないでしょう。

人間には寿命があります。20年後30年後を思う時に新たな建築家が生まれているのでしょうか。それとも建築家の役割そのものが変質してしまうのでしょうか。新たな時代に新たなニーズが生まれてくるようにも思うのですが、いまはうまく想像できません。

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2017年5月 6日 (土)

『国立社会保障・人口問題研究所』大都市と非大都市の人口移動を観るのに「類型別府県間移動数:1954~2015年」があります

多摩ニュータウンの街開きは1971年です。非大都市から大都市への移動がまさに二度目のピークを迎えていた時にあたります。最初のピークは1963年頃ですから、戦中派と戦後派の世代が共に大都市移住のピークを迎えた格好になります。時代背景としては60年安保を支えた世代が家族を持ち、子育ての場を探し始めます。そこに多摩ニュータウンが誕生します。

しかし世界の動きは大都市に集まる若い世代に試練を与えます。それは狂乱物価のオイルショックであり建設物価上昇に伴い地価が急速に上昇し始めます。非大都市地域からの大都市移動は急速に減退していきます。その結果として非大都市から大都市への移動が限界としてのピークを迎えるのですが、こんどは大都市内での移動が激しさを増します。つまり郊外への都市の拡大です。

オイルショックで大都市の居住コストは急激に上昇します。従って庶民は通勤時間を犠牲にしても快適居住の確保にと郊外移住を考えます。当事の言葉にドーナツ化現象という都市の拡大を形容した新市街地の広がりを形容する言葉が生まれました。中心市街地から隣接する市街地への移住ではなく、土地の安価な郊外に居住地を求めて市街地を拡大させた状況を表すのです。まだまだ時代は戸建て住宅を求めています。だから郊外の山林を平坦化したひな壇の戸建て団地が大規模に生まれます。

そんな戸建住宅団地では間に合わないという危機感から多摩ニュータウンなどのニュータウン開発が集合住宅団地として展開され始めます。千里ニュータウン、高蔵寺ニュータウンに続き多摩ニュータウンが開発されます。ニュータウンの先進国イギリスに範を得た新住宅地開発が日本でも進みます。1955年に日本住宅公団が誕生してニュータウン開発は新たな段階に進みます。多摩ニュータウンも公団主導で開発が進みました。そして90%が集合住宅という独特な景観を持つニュータウンが誕生したのです。

そもそもモデルなったイギリスのニュータウンではロンドンの環境汚染から市民と職場を共に移住するという思想で開発が進みましたが日本では職場を都心に残したまま住宅のみが郊外に移動して、「通勤」ならぬ「痛勤」を強いたことから、共働きもままならず専業主婦が増えたということにもつながります。その後の工場なども地価の上がった都市部の土地を売却して郊外に移動しました。それに共なつて従業員も郊外に移ったのです。今では多摩ニュータウン周辺にも大規模工場が誘致され自家用車での快適通勤を決め込んでいる人も多くなりました。時代は郊外の時代でもあるのかもしれません。

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2017年5月 5日 (金)

『国立社会保障・人口問題研究所』を知ってますか

「日本の人口は減少します」は日本の将来を語る上での枕詞になってしまいました。人口は減っていくのですが原因はなにでしょう。「少子化が続いている」「出産の数が経った」「教育費が高いので子供の数を制限している」などが聞こえてきますが、基本中の基本は「産める女性の数が減っていく」ことが原因です。

戦後、団塊世代が立て続けに生まれましたが、その後の産児制限で急速に出生数が減っていきました。その後、団塊ジュニアの子供が生まれ始めて増えていきますが山はたちまち落ちていきます。従って子供を生む人の数は次第に減少していきますので、生まれる数は識れています。合計特殊出生率が2.08なんてのはあまり意味がありません。4.0ならば解りますが、そもそも産む人の数が減っていくのですから必然的に人口も減ります。どこかで生体論的な平衡化が図られるとは思いますが、今のところ下落はとどまるところを知りません。

実際のところ子育て支援とか学費の無料化などを行っても少子化は止みませんし、たとえ出生率が理論的な人口維持の2.08を超えても人口は減少するのです。特に労働力人口は減少していきます。そこに高齢者が伸し掛かり勤労者の負担を圧し上げてきいきます。『国立社会保障・人口問題研究所』が平成29年度の日本の将来人口推計の最新版を出していますが、出生率を高位に設定して死亡率を低位にしても結局は人口減少は変わらないのです。

現在、日本では雇用環境が売り手市場になっています。これは労働人口の低下が原因であると言われていますが、女性の社会進出や高齢者の就労などが増えていますから、必ずしも人口問題だけではないように思っています。具体的にはサービス産業の多様化で特に高齢者支援など福祉部門で人材が不足している現状があります。また、震災復興やオリンピックなどの需要過多で建設業での労働者不足が見られます。こうした労働者不足は実は一時のことで、2020年を前にして労働人口の余剰が生まれると思っています。すでにマンションなどの建設について新規供給はリーマンショック以降半減していますし、今後も伸びないと思われます。再開発などの新たな都市開発の息吹も限界が来ているように思われるのです。不幸なことですが、首都圏震災などが景気高揚の起爆剤になるかもしれません。

今後の労働市場は建設については、ストックの修復やリノベーションなどのビジネスへの展開が進み、新築などの需要は減退します。こうした予測を統計で確認する必要がありそうですが、就業状態等基本集計の全国編と東京都編が4月26日に公表されたので少しやってみたいと思います。しばらくお待ち下さい。

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2017年5月 4日 (木)

『住宅・土地統計調査』東日本大震災による転居状況

震災が発生したのが平成23(2011)年3月11日ですから平成25(2013)年の住宅・土地統計調査段階では移住する世帯は移住しているのだから調査としては有効なデータです。震災で転居したと言っても、転居の理由が津波なのか地震なのか原発なのかで大きく別れるのですが、その原因については調査には盛り込まれていないのでがっかりです。原発での移住については国レベルではわかっているのだから調査の必要はないという判断なのかもしれませんが、一般的立場で統計を扱うものとしては調査項目として入れておいて貰いたかったものの一つです。(国勢調査では移動調査がありますが)

また、統計局の解説ですが『全国で東日本大震災により転居した世帯は32.9万世帯となっている。これを,転居の理由別にみると「住宅に住めなくなった」が13.3万世帯(40.4%),「その他」の理由による転居が17.9万世帯(54.4%)となっている』と説明されていますが、転居した理由が余りにもお粗末。「住宅にすめなくなった」といっても、「揺れで壊れたのか」「汚染で住めなくなったのか」わからないし「その他」という転居の理由にしても、避難勧告で転居せざるを得なかったのか、自主的な避難をしたのかなど理由が見えないのです。わざわざ真実を調べようという意識がないように思えてならないのですがいかがなものでしょう。「不都合な真実」は明らかにしないという方針が有るような質問用紙の作り方のようにも思えます。

当然ですが原発事故での避難は福島県に集中しました。幸い福島県は広く、県内での移住が可能でした。次いで東京都への移住が進みます。それは比較的広い範囲の千葉県でも神奈川県でも埼玉県でもありません。狭い範囲の東京都を選択しています。それは働く場の確保や東京というブランドかもしれません。2015年の国勢調査を観てみましょう。福島県からの転入人口がどうだったのか、住宅・土地統計調査とリンクするはずです。ただ、それが震災の結果の転入であったかというのは国勢調査で特別に調査していれば良いのですが、残念ながら国勢調査では取り扱っていません。

とはいえ福島県の原発に依る人の移動状況はさらに複雑だし、被害の状況によって移動スタイルも変わってきます。子育て期の家族が沖縄に増えているという現象も見られましたし、東京への転入人口も特別だったことも解っています。何れにしても特別な被害を被ったことは確かなので、これらの実態を受け止めていくことが欠かせないことになります。ただ、総じて被害者の移住先が東京都に集中することは、やはり東京一極集中を招いている原因でも有るのだなと実感するのです。もうこれは終わらないのか・・・。

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2017年5月 3日 (水)

『住宅・土地統計調査』多摩市の空き家問題を考える

実態としてUR賃貸の17%が空き家だという事実が統計的に確認できるとすれば、公式な情報源としては国の「住宅・土地統計調査」に依存するしか無いのですが、それが悉皆調査(全数調査)ではなくサンプル調査であり、1/5から1/10のサンプルから推計しようというのだから、正確さには少し塩梅を加えた評価になります。実際上、平成25(2013)年の空き家調査では賃貸用の空き家5,590戸、持ち家空き家が490戸という数字になっています。当事の賃貸募集状況は未確認ですが、現状の8,474件というSUUMO情報と比較すると、少し少ないのかなと思ってしまいます。そもそも賃貸募集の件数そのものについては、ダブルカウントの住宅情報があるので実態よりは多すぎる数字になりがちですが、それにしても公式な調査は少ないと思います。

とはいえ持ち家空き家と比べると12倍の賃貸空き家があり、世帯数と比較すると8.4%、持ち家空き家が0.7%であるのに対して、其の差は歴然です。そして賃貸空き家は増加し続けていますので、賃貸経営は続かないことは明らかです。ちなみに平成20(2008)年の賃貸空き家は3,570戸、平成15(2003)年は3,250戸です。平成20年調査から平成25年調査の間に空き家数が急増しています。これは2008年のリーマンショック後の不景気が住宅事情に大きく影響を与えていると考えられます。学生たちが自宅通学に大きく方向を変えたという記憶があります。

一方、持家住宅については平成15年590戸、平成20年1600戸、平成25年490戸となっていて、平成20年の数字が俄に原因が見えません。諏訪二丁目住宅640戸の建替が平成23年からですから調査には影響ないはずなので不可思議です。多摩市の様子は概ね把握しているつもりですが1600戸という持ち家空き家は心当たりがありません。こうした情報の疑いがサンプル調査であるというハードルをどうしても拭えず、住宅・土地統計調査の信憑性を懐疑的に見てしまうことになります。

統計とは確率の問題ではありますが、1/5、1/10のサンプル調査ではあっても、基本的に経済調査など正規分布するデータの調査であれば納得行くのですが、地域の偏向を診断する調査なのに、それが偏ってしまうサンプル調査では調査方法に無理があるのです。たまたま空き家の多い調査区を決めてしまっていた場合にはその地区の固有の現象が多く響きます。調査母数が1/5ならば5倍に、1/10ならば10倍になって影響します。この当たりが当事者ではないので詳細はわかりませんが、結果としての情報を活用する者としては解せないことであることは確かです。

もしかして、2007年夏のサブ・プライム危機で住宅を購入したものの支払いなどの滞りで入居できない住宅が堆積していたというストーリーが組めるならば平成20年の持ち家空き家の戸数も合点が行くのですが、まさか1,000戸以上のトラブルがあったとは ~~。

多摩市の空き家

賃貸用空き家

持ち家空き家

平成15(2003)

3,250戸

590戸

平成20(2008)

3,570戸

1,600戸

平成25(2013)

5,590戸

490戸

住宅・土地統計調査

2017年5月 2日 (火)

『多摩ニュータウン』多摩市永山4丁目のUR賃貸にリノベーションのMUJIが参戦しているのですが

永山団地の空き家が増加し続けているのでURも何とか起死回生を目指してと、全国にある同様な団地でリノベーション改善を行って入居者を取り戻す作戦に出ました。其の一つのメニューに「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト

http://www.ur-net.go.jp/muji/」があります。全国に分布するUR賃貸に展開していますが、2013年から関西で始まり首都圏では高島平が2014年からで永山団地は2016年1月から6戸が募集を始めて、続いて11月に4戸を募集しました。その時の平均倍率は5.5倍になります。近くでは百草団地で2戸募集していて倍率は6倍と9倍です。

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永山4丁目の平成27年世帯数が1841世帯で、戸数は2224戸と一定ですから、空き家は383戸あります。空き家の数がここまであると、そこでのリノベーション人気を継続させるのは至難の業です。間取り1DK~4DK、住戸面積30~70㎡、家賃45,100~102,600、共益費1,700~2,700、戸数3,302戸もある永山団地全体の空き家数は推定で560戸(平成27年国調より)です。その中で10戸20戸では焼け石に水。実際、4戸募集で倍率5.5倍ということは、総需要は今回の募集によって1倍は解消できたのですから残りは4戸☓4.5という計算になり18世帯の応募の可能性があるということになります。でもせいぜい其の程度なのです。

住宅型2LDK、専有面積52.42㎡、月額家賃76,500円~84,900円、月額共益費1,700円がリノベーション住戸の市場価格です。持ち家だと管理費や修繕積立金、さらに固定資産税が必要になるので、その分差し引いて居住者負担を想定すると、住宅ローンならば6~6.8万円ほどの毎月返済の感覚になります。これで中古マンションを購入するとして考えると、35年返済で1800万円程度の中古は買える計算になります。30年だと1600万円、25年だと1400万円です。

ちなみに永山3丁目の分譲団地の中古物件で同様な面積の売却物件を探してみました。間取りは販売時のままのようですが990万円で売り出しています。これに500万円のフルリフォームを加えても1500万円です。優に家賃程度で買えてしまえます。私ならば当然賃貸ではなく購入を選びます。いや、この歳で住宅ローンは無理なので、私の子供には住宅取得を勧めるということで、MUJIの取り組みは永山団地での需要はせいぜい20戸から30戸程度で飽和状態です。その後の500戸以上の空き家をどうするのかはURの問題ですが、URを先導する国の問題でもあるのです。つまり言い換えると国民としてどうするのか、地域に住んでいる国民としては少しは頭を使わなくっちゃならない問題です。これを機会に、人任せはだめですよ。

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2017年5月 1日 (月)

『多摩ニュータウン』多摩市永山4丁目はUR賃貸の街:男と女の数は、やはり

平成27年の国勢調査では多摩市永山4丁目の単身世帯が904世帯で全世帯1841世帯の半分を占めています。最近の単身世帯の増加数は年間15人近くですのでそれが今後も続くとなると、2020年には976世帯になり、さらに増え続けていくことになります。単身者の多くは持ち家を持たない傾向があるので、高齢者も含めて入居しやすい公的賃貸住宅では単身化はやむを得ない現象になるでしょう。

こうした単身世帯の中には日本人全体の晩婚化と生涯独身の人が増えていく影響もあり、必然的に生涯を賃貸住宅で住み続ける人も多くなります。それも男性にその傾向が強いようです。内閣府の調査では男性と女性の生涯未婚率は倍の差があることが報告されていて、急速に増加しています。こうした結果から当然に男性の単身世帯が多くなります。その反映が永山4丁目の男女差にも現れています。例えば40~44歳の団塊ジュニア世代ですが、男性は137人、女性が112人です。夫婦+子供世帯以外では単身世帯かひとり親世帯、あるいは老親との同居になると思いますが、ひとり親世帯は女性が多くなる傾向にありますし、老親との同居は男女同じような比率になると考えると、男女差は基本的に男性の単身世帯ではないかと思われます。その場合男女差の25人が40~44歳の男性単身世帯だと断言できるのです。ちなみに女性の単身世帯がいないとは言えないので、その世代の女性単身世帯がいる数だけ男性の単身者も増えるという計算になります。まるで数字のお遊びですが、統計結果から推計することの出来る情報は多いのです。

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さらに、単身高齢者世帯が504世帯となるとやはり対策は必要でしよう。日頃の食の問題や心の問題を解決するには地域のコミュニティとの交流が必要ですし、地域活動や地元での活動など自主的な活動も必要になります。また家計に関する経済や就労に関することについては、近隣での就労を確保するためにもビジネスマインドの醸成が必要ですから、ハローワークに頼らない地元ビジネスなどのサポートも有効でしょう。

実際、単身高齢者の経済問題は深刻です。嘗て永山団地居住者のアンケートが自治会で行われたのですが、その回答に「都営住宅に移りたい」という希望が強くありました。都営住宅では家賃が1万円以下です。現在の家賃と比較すると家賃で浮いた分、生活費が増えます。6万円の家賃が1万円になれば5万円の生活費が躍り出るのです。生活保護よりも嬉しいはずです。単身高齢者の生活状況は都営住宅に住む人もUR賃貸住宅の居住者も同じです。それなのに家賃だけが格差があるというのが地域の社会問題でも有るのです。なんとか改善したいものです。

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